フレームワークには収まらない、
あなたたちの物語を、あなたたちが描こう。

組織やサービスのあるべき姿を、想い、描き出し、話し合い、小さな物語に紡ぐ。
「ナラティブ・プロトタイピング」は、簡単なフレームワークには収まらないビジネス仮説を、あなたの組織・チームが自ら物語化することで、より深く・より強固な組織ビジョン・事業構想を描き出すためのワークです。
  • 組織ビジョンの考案に
  • 新規事業の仮説づくり・強化に

組織・事業の未来に、
もっと解像度を。

ナラティブ・プロトタイピング(ことがたり)は、組織のビジョンや新規事業を作ろうとしているチームに向けた、ストーリー駆動のプロトタイピング・ワークです。未来の顧客が、あなたの組織やサービスに触れることで、どのようにありたい姿に近づくのかを克明にストーリー化することで、ビジネス仮説の解像度を高め、チームの理想を自然に共有することができます。

ナラティブ・プロトタイピングという言葉は少しとっつきにくいかもしれません。もう少しわかりやすく「ことがたり」とも表現することができます。これからの組織が成す「こと」にフォーカスして紡がれる物語、それが「ことがたり」であり「ナラティブ・プロトタイピング」なのです。

ナラティブ・プロトタイピングがもたらす3つの効果

ビジネス仮説の深堀り・強化

なかなか事業アイデアが発展しない。ペルソナやカスタマージャーニーマップを作ってみたがよい仮説が見えてこない……こうした悩みは価値創出に向けた深堀りが浅いために生じます。ナラティブ・プロトタイピングはアイデアの物語化を通じて、その解像度を高めイメージを強固にします。

自然でリアルなペルソナ

物語の中で考え、悩み、行動するのは、まだ見ぬあなたのサービスの受け手(顧客のペルソナ)です。物語の登場人物として彼ら/彼女らを動かすとき、その状況・人格・行動にウソや思い込みがないか、一般的なカスタマージャーニーマッピングよりもつぶさに確かめることができます。

チーム全体での高レベルな理想の共有

ナラティブ・プロトタイピングでは、プロジェクトリーダーだけでなく、チームのメンバー全体がストーリーの作成に関わります。未来の構想を外部のコンサルタントやデザイナーに頼るのではなく、チームの力で編み出していくこと。それがナラティブ・プロトタイピングの大きな意義です。

物語(ナラティブ・ストーリー)を
紡ぐための10のステップ

まとまった文章、ましてや物語を書ける人がチームにいない、という方は多いでしょう。

でも大丈夫。ナラティブ・プロトタイピングにはチームで物語を描き出すための10のステップがあります。誰にでも読まれるような名文を書く必要はありません。まずはそれぞれのステップの概要をご紹介します。

テーマやアイデアを洗い出す

まずはチームでアイデアを広げましょう。ラフなブレーンストーミングで構いません。数を出すことを心がけ、様々なアイデアやテーマを並べてみます。外部の識者に頼るのではなく、事業について最も見識が深い、あなたのチームがこれをおこなうことが重要です。

対象とするテーマやアイデアを絞り込む

最終的にできあがるナラティブ・ストーリーは、通常1万字程度の小さな物語です。これにおさまるよう、テーマを3つ程度に絞ります。新たなサービスをリアルに実感できるような重要性の高いテーマに絞り込み、物語の背骨をはっきりさせていきます。

登場人物のペルソナを描く

あなたの新しいサービスをいち早く使ってくれる人はどんな人でしょうか? これからはじまる物語の中で、生き生きと活動し、心を動かす登場人物たちを描き出していきましょう。まずは人物像の原型をナラティブ・デザイナーが作り出し、これにチーム全体でフィードバックします。

ライフスタイル・仕事の仕方・根本的価値観など、通常のペルソナ作成よりも細かい粒度で、人物の造形を彫り出していきます。

「ワークスタイル」「仕事の流儀」「価値観」といったテーマに沿って、ペルソナの詳細を箇条書きで書き込んでいきます。

物語を作り上げるのはチーム全員の仕事ですが、もちろんこの仕事にはリーダーが必要です。ナラティブ・プロトタイピングではチームをリードして物語のたたき台をつくる役割を負う人をナラティブ・デザイナーと呼びます。なお、ナラティブ・デザイナーはいわゆるデザイナー職である必要はありません。

シーンを整理する

登場人物はどのようなシーンを経ながら、あなたのサービスを体験するのでしょうか? 持っている悩み・サービスとの出会い・興味をもつまで・そして利用を始め、サービス体験を積んでいくシーン構成を考えます。それぞれのシーンの中で、登場人物がどのように動くのかも大まかに描き出していきます。
ここでは、簡易なカスタマージャーニーマップを描くイメージです。

ナラティブ・ストーリーの原型を描く

ナラティブ・デザイナーはシーンごとに登場人物がどのように動くのかを、より詳細に描きます。ペルソナを参照しながら、箇条書きでシーンごとに具体的な動き・感情の機微を想像しながら内容をまとめていきましょう。ここでは図のようにスプレッドシートにまとめて構いません。トータルの内容は通常3000字、多い場合は1万字を軽く超えることもあります。

例えば、スプレッドシート上でシーンを一覧にし、それぞれのシーン上で表現すること、大まかな内容、必要なソリューションのイメージを描きます。これに対するフィードバックを書き込む列も用意しましょう。
ナラティブ・ストーリーの原型フォーマットの一例
「ナラティブ・ストーリーの原型」へのフィードバック

チーム全体でナラティブ・ストーリーの原型を検証し、フィードバックを返します。これらへの対応・取捨選択はナラティブ・デザイナーがおこない、この段階で議論が拡散しすぎることを防ぎます。同時に、この段階でチーム全体が物語の作成に関わったという実感があることもまた重要です。ナラティブ・デザイナーの腕の見せどころと言えるでしょう。

フィードバックと整理の繰り返しで物語を磨く

フィードバックを出し切れるまで、ストーリーの整理とフィードバックを繰り返していきます。どうしても意見が合わない場面では、ナラティブ・ストーリーを分割することもひとつの手です。「どちらもありうる」意見がある場合は、どちらも残す方向を検討してみましょう。

ナラティブ・ストーリーを描き出す

いよいよナラティブ・ストーリーを文章にまとめます。書き上がったナラティブ・ストーリーの原型を統合し、Wordなどの文章作成ソフトにまとめて読み物として完成させます。あくまで小説家のように「読ませる」文を書くのではなく、分かりやすく、共感しやすい書き方を心がけるようにしましょう。

ナラティブ・ストーリーへのフィードバック

文章として仕上がったナラティブ・ストーリーへのフィードバックをまた集めます。原型のときはプロジェクトチームのみでフィードバックを集めますが、ストーリーになったものは、さらに範囲を広げてフィードバックを募るのも有効でしょう(部門全員から意見を集めるなど)。
この段階でも、意見の調整・取捨選択はナラティブ・デザイナーがリードします。

ナラティブ・ストーリーの完成

フィードバックと調整・推敲を経て、第一版のナラティブ・ストーリーが完成します。

事例紹介

チームの理解を深めながら、プロダクト作りの解像度を上げる「ナラティブプロトタイピング」への取り組み―NECネッツエスアイ株式会社

ナラティブ・プロトタイピングの
その後

ナラティブ・プロトタイピング(ことがたり)で得られるのは、強い仮説と強いチーム

描き出したナラティブ・ストーリーはあくまでプロトタイプであり、チームの想像を詰め込んだ物語でしかありません。ここから事業創出のための具体的な仮説検証と開発が始まります。
しかしながら、脆弱な思いつきの仮説と、ナラティブ・ストーリーに裏打ちされ強められた仮説とでは、検証したときに得られる成果がまったく違うものになることでしょう。
また、仮説検証と開発にあたるチームメンバーの意識もまったく違うものになっているはずです。ナラティブ・プロトタイピングはビジネス仮説と同時に、チームのゴールへのイメージを強めます。

仮説検証型アジャイル開発へ

ここからは事業の仮説を整理し、検証を繰り返す仮説検証の段階に入ります。インタビューやリサーチを通じて仮説の確かさを検討し、磨き上げていきます。
また、顧客に価値を実感してもらえる最低限の動くプロダクト(MVP)を定義し、開発し、市場に出すことで生きたフィードバックを得ながら開発を進めるアジャイル開発も顧客中心のプロダクトづくりのために必要なケイパビリティです。
この開発プロセスを「仮説検証型アジャイル開発」と呼びます。詳細は下記のリンクからご覧ください。

考案者からのメッセージ

このナラティブ・プロトタイピングを考案した市谷です。

サービス開発において仮説検証やアジャイル開発といった手法は一般でも耳にすることが多くなりましたが、一方で多くの方が「強度のある仮説」をつくることができずに悩んでいる場面に出会うこともまた増えました。
こうした課題に向き合う中で、また、私自身が著書の中でストーリーテリングをおこなってきた経験から、ナラティブ・プロトタイピング(ことがたり)は生まれました。

事業アイデアに命を吹き込み、チームや組織を動かすのは「物語の力」です。ナラティブ・プロトタイピングが、あなたとあなたのチームの、新しい一歩を強く支えるものになることを願っています。

市谷 聡啓 / Toshihiro Ichitani

株式会社レッドジャーニー 代表 / 元政府CIO補佐官 / DevLOVE オーガナイザー

サービスや事業についてのアイデア段階の構想から、コンセプトを練り上げていく仮説検証とアジャイル開発の運営について経験が厚い。プログラマーからキャリアをスタートし、SIerでのプロジェクトマネジメント、大規模インターネットサービスのプロデューサー、アジャイル開発の実践を経て、ギルドワークス・レッドジャーニーというふたつの組織を立ち上げる。それぞれの局面から得られた実践知で、ソフトウェアの共創に辿り着くべく越境し続けている。

著書「カイゼン・ジャーニー」はよりよいソフトウェア開発のあり方に悩む青年エンジニアのサクセスストーリーを軸にした構成で、アジャイル組織づくりの入門書として広い共感と支持を受けた。

他の著書に「組織を芯からアジャイルにする」「デジタルトランスフォーメーション・ジャーニー」「正しいものを正しくつくる」「チーム・ジャーニー」「いちばんやさしいアジャイル開発の教本」、訳書に「リーン開発の現場」がある。

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